鳥取カキ
(とっとり柿)
persimmon
鳥取県東部で生産されている柿には渋柿の『西条柿』を筆頭に、甘柿の『富有柿』、郡家地区にてGIに登録された甘柿の『花御所柿』、そして大玉の早生甘柿の『輝太郎』があります。これらの柿は収穫時期によって9月下旬頃から12月にわたり選果され、京阪を中心に東は東京都へ、西には鹿児島県の市場へ出荷されます。ここでは、鳥取県東部『JA鳥取いなば』管内で生産されている柿を紹介させて頂きます。
西条柿について
まずはJA鳥取いなば管内の約6割の柿の栽培面積を誇る西条柿について紹介させて頂きます。そもそも西条柿の歴史は古く、16世紀半ばの頃には西条柿はすでに干し柿として加工され、武士の保存食料として珍重されていたそうです。
本格的な栽培が始まったのは昭和初期からで、昭和30年代にドライアイスの渋抜き技術が普及するとその品質は飛躍的に向上しました。
西条柿の名前の由来は、広島県東広島市の「西条町」とも愛媛県の「西条市」ともいわれていますが、定かではありません。
鳥取県は今では国内有数の産地となり、県東部・中部を中心に栽培されています。
柿栽培全般の説明になってしましますが、柿の栽培は大まかにいうと、摘蕾・摘花・摘果・摘葉・せん定があります。もちろん、病害虫との闘いや樹の様子を見て施用する肥料管理、柿を綺麗に仕上げるための栽培技術、台風対策など様々な手間暇が掛かりますが長くなってしまうので割愛させて頂きます。
最初に出した摘蕾・摘花・摘果。この作業は収穫前に行う選果と言っても過言ではありません。「この蕾はいい柿になるだろう。」「この花はいい柿になるだろう。」「この小さな実はいい柿になるだろう。」農家さんは5月~8月にかけてこの作業を行い良い柿作りを目指して栽培しています。また、柿には『生理落果』という自然と実がおちてしまう現象があります。そこのも農家さんは樹の様子を見ながら摘果作業を行い、その樹にあった実を着けさせます。
これらの作業は梨のページで紹介しました林真司氏の外国人には真似できない『生きた芸術品』に繫がると感じられます。
西条柿の特徴
さて、それでは西条柿の紹介と移させて頂きます。西条柿は渋を抜かなければそのまま食べることは出来ない渋柿です。
初めて西条柿を目にする方は、その特徴的な形もあり食べづらそうと印象を持たれるかもしれませんが皮の向き方はのちのち紹介させて頂くので、まずは味の説明から。
渋を抜いた西条柿をひと口食べると、その味の虜となってしまいます。 柔らかで、とびっきりの甘みを与えてくれる西条柿はJAのベテラン柿指導員が最も美味い柿としてその名を上げるほど。
JA鳥取いなばはその大産地です。時期になれば、JA直売所でも超・人気商品の西条柿。
鳥取で柿と言えば、西条柿の名前がまず一番先に出てくることでしょう。
西条柿の皮の剥き方
では、特徴的な形の西条柿の皮の剥き方の説明を。まずはみぞに沿って縦に十文字に切ってください。次に切ったあとから皮をむいてください。そうすれば簡単に皮をむくことができます。
あんぽ柿
丹精込めて栽培した西条柿にも出荷に適さないものも出てしまいます。そこでJA鳥取いなばでは『あんぽ柿』という干し柿の半歩手前まで乾燥させた干し柿に加工して出荷しております。干し柿のように固くなく柔らかな果肉を残した状態のこの干し柿は添加物を一切使わない和菓子のようにいただけます。
輝太郎について
今現在、急激に栽培面積を伸ばしている柿がこの『輝太郎』という柿です。鳥取県の園芸試験場が育成し、平成22年に品種登録がされたこの品種は9月下旬という早くに収穫が出来る大玉の甘柿です。先ほど紹介した『西条柿』の定められている最低重量が120gに対してこの『輝太郎』は250g!大きいものだと500gを超えるものも。さらに、糖度も高いもので17度と高糖度の品種として農家さんの注目を集め、県を上げて栽培に力を入れている品種です。
歴史は西条に比べるとまだまだ浅い品種ですが、味は西条に負けておりません!
富有柿について
富有柿は全国の甘柿の約3割を占めています。言わずと知れた「甘柿の王様」です。 鳥取県では明治43年頃に植えつけられ、栽培が始まりました。JA鳥取いなば管内でも西条に次ぐ栽培面積を誇っております。
富有柿の特徴としては甘みが強く、多汁大果で果肉は柔らかです。ビタミンCをたっぷり含んでいますので、美容と健康に最適です。 10月下旬頃から出荷され、日持ちの良さを活かし一部は海外にも輸出されています。
こおげ花御所柿について
こおげ花御所柿は、JA鳥取いなば管内にのみ栽培されしかもその9割が「八頭町(旧 郡家町)」というところで栽培されている非常に珍しい柿です。
まずはこおげ花御所柿の歴史について。今から240年ほど昔に今の八頭町に住む野田五郎助さんが奈良の御所柿を食べ、大変おいしいと感動され、その穂木を故郷に持ち帰り、接ぎ木したことに始まった品種がこおげ花御所柿です。地元でもおいしいと評判で皆が穂木を分けてもらい、近隣の地域ではどんどん栽培が広がりました。これがこおげ花御所柿栽培の始まりです。
このこおげ花御所柿は過去、「柿品種に関する調査」で品質最上位だと公表されたり、全国果実展示品評会で柿の部一等賞となったりと、非常に高く評価されています。
そして平成30年12月27日に地理的表示保護制度、通称GI制度に登録されました。
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